平 根 館
秋田県由利本荘市(旧鳥海町)鳥海町平根
立地・構造
 平根館笹子(じねこ)川の中流域、左岸の南から北方向に張り出した稜線突端(比高60m)に築かれた山城で、南側の丘陵続きを堀で断ち切り館を独立させています。城の規模は東西100m×南北300mほど、城縄張りは山頂稜線を加工した南北の2郭構造。両郭は幅2−3m×深さ1mほどの小規模な東西堀で仕切られています。規模は北郭が東西50m×南北90m、南郭が東西60m×南北130mほど、北郭の南縁に土塁の痕跡が見られることから土塁が築かれていたと推測されます。大手筋は北麓からのルートが想定され、中腹部に導線を遮るように堀切が敷設され、また北側の郭の手前に堀切土橋が設けられています。同地は笹子川に沿った谷底平野を望む高所に位置し、また笹子川上流域方向を眺望できる要地
平根館 概念図
に位置します。基本的に物見砦を兼ねた村落領主の日常居館として築かれたものと思われます。

 築城時期・築城主体ともに不明。館主は『奥羽永慶軍記』(あまり使用したくな いのですが ・・・・・)に「永禄三年 矢島殿(大井氏) 滝沢殿被攻る。先陣は平根与右衛門高名す・・・・・」と記された「平根与右衛門」と推測され、平根氏は根城館主 矢島大井氏の影響下にあった村落領主と思われます。
歴史・沿革
平根館 大手筋の土橋
メモ
矢島大井氏の被官 平根氏の館城
形態
山城
別名
・・・・・・・・
遺構
郭(平場)・土塁・虎口・堀・土橋
場所
場所はココです
駐車場
「平根老人憩いの家」の駐車場借用
訪城日
平成18(2006)年11月3日 平成25(2013)年5月18日
平根館は平根地区背後(南東側)の丘陵上に築かれた山城です。(写真左上ー北側からの遠景) でっ、城へは北麓の「平根老人憩いの家」からアプローチするのが手っ取り早く、城山脇の砂防ダムから登山道が設けられています。(写真右上ー北麓からの近景 写真左ー北西麓の登り口) 登山道は比較的緩斜面になっていて、それほどキツクもなく(写真左下)、しばらく登ると最初の堀切が見えてきます。(写真右下) 堀切は4−5mほど切り落としただけの浅いもので、ここから導線は稜線の西側側面を迂回します。
堀切を越え、またしばらく登ると2条目の堀切が現れます。(写真左上・右上) 規模は幅3−4m×深さ1.5−2mほど、堀に土橋がかけられ、この後 導線は幅広の堀底道を通り北郭に繋がっています。(写真右)
北郭(写真左下) 規模は東西50m×南北90mほど、南縁に土塁が築かれていたと思われ、南東部に高さ0.5mほどの土塁の痕跡が見られます。(写真右下) でっ、土塁の外側(南側)に幅2−3m×深さ1mの堀が穿たれ、南側の郭と仕切られています。
(写真左上) 南・北郭間の堀 
南郭(写真右上) 主郭に想定される平場で規模は東西60m×南北130mほど、内部はムチャクチャ広い平場になっています。郭は北側を堀で、東ー南ー西側は急傾斜の断崖を自然の切岸として区画され、唯一 南西側の稜線で背後の丘陵と繋がっています。(写真左) たぶんここに堀切があったと思われますが、現在 林道が建設されており、このため堀は埋められたのでしょう。
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